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カテゴリー : ヒューマンドラマ

青空と名古屋城
「名古屋って特に何もないしなぁ」 まただ。 俺は何度も聞いたセリフに辟易した。大体予想はしていたものの、こう何度も続くと名古屋に来たのは間違いだったのではないかという気さえしてくるってもんだ。……
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朗読:福田勝明
  
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パソコンとお菓子とマグカップ
 若さは無敵だ。 そんな当たり前の現実に直面し、40代半ばの私は、パソコンを前に、一人で勝手に打ちひしがれている。ふと、手元に視線を落とすと、マウスを動かす手の青い血管が目立つようになった気もするし、……
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朗読:みなみ津姉
  
つねプロデュース
富士山の形の滑り台
 月曜日の昼下がり、東京の兄と一緒に住んでいる母のケータイから電話があった。「いま名古屋に来とるでねぇ」 急な連絡でビックリした。 「家まで来たけど無くなっとるでかんわ。何もかんもあらせん。……
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朗読:益川京子
  
フリー
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小説の種類:
お香
 「ねえ、うちにも芳香剤置こうよ」 学校から帰るなり高2の娘リカが言った。 「うん」 澪子は返事だけしてリカの方を振り向きもせず、パソコンを打っていた。慣れないリモートワーク。仕事は溜まるばかりで、……
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朗読:田中峰子
  
STRINGS
作者:
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小説の種類:
たくさんのブローチとペンダント
 大須へ行くときにはルールがある。 大須観音駅の2番出口を出たら大須観音の前を通らずに必ず一つそれた道、東仁王門通りへつながる道を通って大須へと入っていく。なんで、ときかれてもなんでなのか自分でも実はよく分からない。……
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作者:
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小説の種類:
風になびく髪
「いらっしゃい」 予約時間の5分前。行きつけの美容室の自動ドアをくぐると、いつもの穏やかな笑顔で店長が迎えてくれる。 カントリーミュージックの流れる店内は、木目調のナチュラルな内装で統一されていて、……
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小説の種類:
迎え火
 一九八九年。市営住宅の夏はやはり暑い。 僕の家はA棟からR棟まである市営大幸住宅のG棟にあった。四畳半と六畳の二間に、台所、便所、風呂だけの家。和式便所で、風呂にシャワーは付いていなかった。……
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梅酒の入ったグラス
カラン なんの音だろうと思った。 職業柄、耳はいいほうだ。コンサート終わりにひっそりと慎ましやかに一人居酒屋で乾杯をしていた私は、聞きなれない音を耳にして首を傾げた。……
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朗読:高橋幸誠
  
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お寺
昔は大きな仏壇があったようだ。 紫檀の美しい立派な観音開きの仏壇。 仏壇仕舞いをしたそうで、いつの間にかそれはなくなっていた。 あまり信仰心が深いわけでもないので、そんなに影響はなかった。……
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朗読:鈴木幾子
  
STRINGS
バーカウンター
 その店は大須赤門通りの商店街から奥に入った狭い路地裏にあった。建物に人一人ぐらい通れる階段があり、階段を昇った突き当たりに怪し気な店が構えていた。 あの日、僕は錦で取引先の重役の接待があった。……
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朗読:関戸哲也
  
空宙空地
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小説の種類:
柴犬
 よく行くスーパーの横にペットショップがある。入口の自動扉前にメダカのいる瓶があって、店内に入ると左手がレジカウンター。その奥には、トリマースペース。右手には、フリモ等のフリーぺーパーが置いてある棚があり、……
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台湾ラーメン
「ごめんごめん!迷ってて遅くなった」 「また〜?何年名古屋住んでたのよ。まあ、私もちょっと迷ったけど」 「やっぱり迷うよね」  待ち合わせ場所で先に待っていてくれた美弥と顔を合わせ、笑い合う。……
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朗読:笹井結加
  
劇団Hi-Tgrowth
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小説の種類:
味噌煮込みうどん
「いらっしゃいませーーーーーーーーーーーー」 どこまでも伸びゆく、威勢の良い二代目男性店主の声。 その声すらもここ、味噌煮込うどん屋の、味であると気づいたのはいつからだったか。……
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朗読:西本智至
  
劇団サラダ
キーワード: / /
小説の種類:
どて煮
「今日、いいもの作ったよ」 妻が『はにかむ』というよりは、『にやにや』した表情でつぶやく。ここで言う『つぶやく』とは、あえて小声で話して興味を引こうとしているだけであって、本当の独り言ではない。……
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剣道
 垂れネームを忘れた。まずい。剣道部に入ってから今まで一度も忘れ物をしたことがなかったのに、最後の最後、大事な大会の日に忘れるなんて……。よりによって、替えがきかないやつを。……
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朗読:宮田頌子
  
オレンヂスタ
キーワード: /
小説の種類:
リビング
「あなたは、トゥルーマンだから」 ベリーショートの妻が悲しげな目で僕を見つめながら呟いた。 1998年、11月。名古屋駅近くの今はなきゴールド劇場にて、監督ピーター・ウィアー、……
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朗読:かとう雅敏
  
劇団劇座
レンガ造りの建物
 ちょっと遅めのモーニングでも、と会社通いの時には気付かなかった、赤いレンガ造りの三階建て、緑の蔦が這う美しい壁に縁どられた古い木製の扉を、ゆっくりと開けた。 頭上では高らかにベルの音が鳴り、……
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朗読:結崎涼
  
劇団Sturm und Drang
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小説の種類:
サイクリングロード
 空はどこから始まるのだろう。空を仰ぎ見るたびにそう思う。遠くなったり、低くなったり、その距離は変幻自在だけれど、けして手が届くことはない。 星神社を左手に上る堤防道路への坂道で、……
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モーニングセット
 仕事の日ならともかく、今年に入ってからと言うもの休みの日でも朝6時には目が覚める。記憶が確かなら、去年までは平気で昼過ぎまで寝ていたし、二度寝三度寝は当たり前。そろそろ起きるかと思った時にはすでに……
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古墳
「ねぇ、この民族雑貨はどうなの」 姉は額(ひたい)から流れる汗を不快げに拭った。溶けたメイクと疲れきった顔は20代の姉をおばさん化させている。「うーん。彼女似合わないよ」「もぉ。せっかく選んであげているのに」……
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