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カテゴリー : ヒューマンドラマ

芝の上にある野球ボール
 本当は逆なんじゃなかろうか。両手をメガホンにして声を張り上げていた私は、ふと我に返った。目の前で繰り広げられるプロ野球の試合に熱狂的な声援を送る私。その隣の席で熱心に本を読みふける父親。……
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公園のベンチに座るおばあさん
 公園の陽だまりに、おばあさんが一人。 ある春の澄んだ陽気、こぢんまりとした公園のベンチに腰掛けて、ぽつねん。子どもたちはボールを追って駆け回り、主婦たちは犬を連れて立ち話に花を咲かせている。……
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小説の種類:
エビフライの定食
昔、私が伏見のOLだったころの話。休日に納屋橋あたりをぶらついていると、古さびた雑居ビルに見慣れない定食屋があるのを見つけた。看板には、安っぽい筆字で「笑華亭」と書かれている。……
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朗読:橘朱里
  
優しい劇団
青空と田んぼ
 毎年お盆になると、母と一緒に叔父さんの家に行く。叔父さんの家は羽黒にあって、私の住んでいる名古屋の景色とは全然違う。ビルはなく、平屋が多くて、坂道がなくて川がある。田んぼや畑が広がっていて、……
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作者:
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小説の種類:
茶器と茶筅
 紅葉が終わりかけの名古屋市南部の、とある神社の一角。 今月も、手水舎で清めのルーティンから。掬った水を掌にかけると、その冷たさで身が引き締まる。もう一度水を掬い、今度は口を清めようとするが、……
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朗読:上田定行
  
フリー
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小説の種類:
閉店したテナント
 わざわざ遠くまで自転車を走らせてここまで来たけど、劣化して剥がれた紫色の壁は明らかに古臭くて、記憶のそれとはあまり一致しなかった。店の入り口に大きく「ご愛顧ありがとうございました」と派手な文字が飾ってある。……
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朗読:小野寺マリー
  
優しい劇団
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小説の種類:
寝転んでいるパンダ
 パンダって、なんかおっさんみたいだな。 なんでこんなに人気なんだろ。 就活のストレスを晴らしに動物園に来た。 いつもやたらと人気なことで有名なパンダ舎だけど、平日の閉園間際ということもあって人だかりのピークも過ぎているみたいだ。……
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菊の花
 中学生活も残すところあと3ヶ月とすこしになった12月の末のことだった。うっすらと線香の香りが漂う祖母の家の和室で、わたしは母に促されて座布団に座った。目の前には、……
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オムライス
 星ヶ丘のおばちゃんというのはわたしの祖母の妹のことで、星ヶ丘に住んでいるからそう呼んでいたのだった。本名は「清子」という。苗字は聞いたことがあるかもしれないが覚えていない。……
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小説の種類:
食堂
 今年も年賀状を書く季節がやってきた。古いアドレス帳を見ながら女房が言う。「この松本市の杉原さんって方どなたなの?今まで一度も会ったこともなければ、年賀状や手紙が届いたことなどないし、……
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朗読:大嶽隆司
  
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小説の種類:
菖蒲の花
 夢の続きはどうしたら見られるのだろう。 パタン、と本を落とした音でまどろみから覚める。 断続的な震動が続く平日昼間の電車内。湿気に曇った窓の向こうで、7月の雨に晒された田園風景が流れている。……
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朗読:加藤K子
  
ほんわかシアター
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小説の種類:
リニア
「銀時計に人を集めるにはどうしたらいいと思う?」 僕がそんな突拍子もない質問を捻り出したのは、気まずい空気をなんとかしたかったからだ。「あっちは広場じゃないから人が集まらないんじゃないか?」……
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朗読:中尾達也
  
オイスターズ
青空と桜の木
 近鉄の終点名古屋駅のホームに電車が着くと、人の群れが一斉に電車から押し出されてくる。 近鉄名古屋駅で流れているメロディは美しくて心細くて、私はそこに停まっている松阪行きや伊勢中川行きの急行に乗って三重に帰りたくなる。 ……
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朗読:河村梓
  
オイスターズ
たくさん並んだ焼き菓子
 地下を出た黄色ラインの地下鉄を、終点の一駅手前で降りる。日曜日のお昼時、利用客は多くない。初夏の風が、淀んだ私を爽やかに洗う。 気がかりは消えないけれど、気持ちは幾分か晴れていく。……
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朗読:佐和ぐりこ
  
オレンヂスタ
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小説の種類:
甘夏の入ったソーダ
 店の経営が難しくなってきた。 誰でも気軽に田舎の味を楽しんでもらおうと、一念発起して大須にレトロな大衆食堂をオープンしたのが3年前。会社を辞めて、起業するには勇気がいったが、……
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朗読:長縄都至子
  
劇団きまぐれ
定食屋のカウンター
 ――ああ、まただ。こうなるんじゃないかと思ってた。「残念ながら、今回は落選ということで……」 予測していたとしてもショックは大きくて、選評を聞いたはずが内容はほとんど覚えていない。……
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朗読:中田裕子
  
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小説の種類:
体温計
「あ」 桜の名所、鶴舞公園。 つい声がもれたのは、線路下をくぐって飛び込んでくる満開の桜に歓声を上げたのではなく、去年の事を思い出したからだ。 去年の今ごろも桜は綺麗に咲いていた。……
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小説の種類:
虫メガネで手相を見ている
 衣替えもとうに終わり、来るべき夏の予定に人々が胸踊らせるそんな7月初旬の午後。ここ「ミント」には一時の涼を取ろうと薄着に身を包んだお客たちが続々と足を運んでいる。 「奈緒ちゃん、ナポリタンあがったよ。」……
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朗読:田村早紀
  
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小説の種類:
芝生
 四月のある日、その日は天気がとても良かったのでコンビニで購入したお弁当を家の庭で昼ご飯として食べていた。バイト帰りなので十四時過ぎと遅めの昼ご飯。 暑くもなく、寒くもない丁度いい気候だった。……
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朗読:内藤美佐子
  
演劇人冒険舎
包丁を使う手元
 誰もいない厨房で石黒さんは包丁を研いでいた。腰をくの字にし、屈み込むようにして砥石に包丁を滑らせる。リズムよくシュシュと音が鳴る。時々包丁を目の前に持ってきて刃の付き具合を確認する。……
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朗読:ながたひとし
  
さんさん劇場