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本棚
 仕事人間の父が、突然、「明日から休みをとったから、温泉でも行くか」 などと言い出したのだから、そりゃ何かあるんだろうとは思った。 高3の夏になっても志望校も決めずにいる僕にしびれを切らして、夜通し説教でもするつもりなのかと勘ぐったりもした。 だが、まるで違った。 「肺に腫瘍……悪性……母さんが……?」……
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本棚
 見慣れた街が時々、見飽きた街だと感じられることがある。街並みの所々がほころび、そこがまた縫い合わされて、修復されて、少しだけ変化することはしばしばあるけれど、ぼんやりとしていたら気づかないほどにその変化は小さく、緩やかであるので、この街はいつまでも変わらないな、なんて思うのだろう。……
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朗読:高場哲也
  
劇団うりんこ