满地都是娃娃房了
弹射音
岸田同学家院子里出现了一个娃娃房。
它大约有15厘米高,似乎忠实再现了真实房子,就连木质墙面板缝隙等细节都做得很逼真。门板上有个把手,扭转就可以开门。窗户还挂有白色百叶帘。
院子里怎么会忽然出现迷你模型房子呢?岸田同学拼命地思考了原因,但当然不得而知。他想,如果就这样放着,它也许会败落。于是岸田同学把它连根拔起来,从院子角落捡起被丢弃的花盆,装土种植了娃娃房,带进屋子里,放在了自己房间的窗边。
岸田同学每天给娃娃房浇水。在他精心照顾下,娃娃房一天比一天大,大到其基础部分从花盆往外突出了。
一天早上,岸田同学醒来,发现娃娃房不见了踪影。
他顿时陷入恐慌,跑到正在厨房里准备早餐的妈妈身边。
“妈,为什么你把娃娃房……”
“你应该先给妈妈请安吧?”
“早、早上好!”
“那个东西,你是从哪里弄来的呀?那个娃娃房已经被你爸从根部锯掉,卖给了玩具店”
“为什么?”
岸田同学气得哭起来了。
“咱家家境不好,需要钱。期待院子里长出更多娃娃房,这样咱家可以发财了”
岸田同学没敢插嘴。因为他知道是妈妈一直最为家庭经济操心。
然而,岸田家生意的并不太顺利。购买娃娃房的客户一开始很高兴,但过了几周就前来投诉,要求退回货款。
理由很简单。是因为娃娃房枯死了。
娃娃房本来要连根移植到土里,而且需要天天浇水。
岸田家又回到了贫穷的生活。
几天过去了。岸田同学发现院子里又长出了一个娃娃房。这次长出的似乎是一座小城堡。他心里高兴,但这次没有轻易地把它拔出来,而是先到妈妈那里汇报。
妈妈哭起来,说:我再也不想那么贪婪了。就这样养它吧。如果想把它带进屋子里,你也可以移植到花盆里。
岸田同学就这么做了。
岸田同学一直想邀请一个同班女生——山田同学到家,让她也看一眼娃娃房。山田家也与他家一样贫困,没有购买娃娃房的经济条件。
山田同学应邀偷偷来到岸田家,看了看岸田同学房间里的娃娃房,流下了眼泪。可见娃娃房有多么精致和壮丽。看了山田同学被打动的样子,岸田同学不由地对她说:如果你想要,我就给你。
“可以吗?这是你珍惜收藏的唯一宝物吧?”
“没问题。其实,这是第二个娃娃房。说不定,以后还会从地面长出来。”
“谢谢你!”
山田同学捧着花盆把娃娃房带走了。
岸田同学的房间又变冷清了,但他没有后悔。
数天后,院子里又长出了一个娃娃房。
这次长出的似乎是一座西方乡村常见的教堂,外观朴素精简。
再后来,院子地面上到处长出了形态各异的娃娃房。不久后,岸田家的院子满地都是娃娃房了。
此时,他家再也守不住秘密了。这么显眼的景致不能不引起行人的注意。人人都称赞岸田家的娃娃房,许多人提出想要认领一个。岸田爸爸将娃娃房一个一个地移植到花盆,转让给想要它的人。岸田妈妈没要钱,人们仍然包了少许礼金表示心意。岸田家虽然没有发大财,但家境比以前宽裕多了。
现在,山田同学家的小小院子地面也慢慢长出了一个娃娃房。
ドールハウスだらけ
弾 射音
朗読:松山理映(総合劇集団 俳優館)
岸田くんちの庭にドールハウスが出現した。
高さは十五センチほど。実際の家を忠実に再現し、壁の羽目板のすきままで本物の家とおなじだ。玄関のドアにはノブがあり、それをひねると開けることができた。窓には木製の白いブラインドが下りていた。
どうしてこんなところにミニチュアの家が。岸田くんはけんめいに理由を考えたが、わかるわけがない。そのまま放っておくと傷(いた)むかもしれないと思い、岸田くんは根っこごと地面から引っこ抜いて、庭の隅に捨てられていた植木鉢に土を入れてドールハウスを植え、自分の部屋に運んで窓辺に置いた。
岸田くんは毎日ドールハウスに水をやった。じょじょに、じょじょに大きくなっていった。土台の端っこが植木鉢からはみ出るほどにまで成長した。
ある朝、目を覚ますと、ドールハウスは跡形もなく消えていた。
岸田くんはパニックにおちいった。
キッチンで朝食のしたくをしているママのところへ駆けていった。
「ねえ、どうして人形のおうちを」
「おはようがさきでしょう」
「お、おはようございます」
「あんなもの、どこで見つけたの。あのおうちはパパが根っこから切り落としておもちゃ屋さんに売りに行った」
「どうして」
岸田くんは怒りながら泣いた。
「うちはお金が必要なの。うちは財政難。これからも、ドールハウスが庭に生えるといいわね。そしたら、うちはお金持ちになる」
岸田くんは言い返せなかった。だって、おうちの経済状態をいちばん心配しているのはママだったからだ。
だけど、岸田くんちの商売はうまくいかなかった。ドールハウスを買ったお客は、最初のうちは大喜びだったが、数週間もすると苦情を言いに来て、代金を返せと要求した。
理由はかんたんだ。ドールハウスは枯れてしまったのである。
根っこのまま、地面に植えなければならなかったのだ。そして、毎日水をやらなければならなかったのである。
岸田君ちはまた貧乏にぎゃくもどりした。
数日後、岸田くんは庭にふたたびドールハウスを発見した。今度はまるで小さなお城のようだった。岸田くんはよろこんだが、安易に根っこを引っこ抜いたりはしなかった。かわりに、ママに報告した。
ママは泣いた。もう二度と欲張りはしない。このまま栽培しましょう。家の中で育てたいなら、植木鉢に移せばいい。
岸田くんはその通りにした。
岸田くんはおなじクラスの女の子の山田さんに披露したいと思っていた。山田さんの家も貧乏で、ドールハウスを買えるような余裕はなかったのだ。
ないしょで岸田くんの家にやってきた山田さんは、岸田くんの部屋の中のドールハウスを見て泣いた。それほどまでにドールハウスは神々しかったのだ。それを見て、岸田くんはつい口をすべらせてしまった。ほしかったらあげるよ。
「え、いいの? だいじなだいじな、ひとつだけの宝物なんでしょ?」
「大丈夫だよ。じつは、これは二つ目のドールハウスなんだ。きっとまた地面から生えてくるさ」
「ありがとう!」
山田さんはドールハウスを植木鉢ごと抱えて帰って行った。
岸田くんの部屋はふたたび殺風景になったが、後悔はしなかった。
数日後、またまたドールハウスが庭の地面に芽吹いた。
今度は、ヨーロッパの片田舎にあるような、素朴な作りの教会の形をしていた。
それからも、庭のいたるところで、いろんなかたちのドールハウスが地面から出てきた。やがて、岸田くんちの庭はドールハウスでいっぱいになった。
その頃になると、もうないしょにはしておけなくなった。近くを通る人々の目に、いやでもとまってしまう。人々はみな、岸田家のドールハウスを絶賛した。多くの人が、譲ってほしいと言いに来た。岸田くんのパパがドールハウスのひとつひとつを鉢植えにして、希望する人に渡した。岸田くんのママは金銭を要求しなかったが、人々は気持ちばかりのお金を置いていった。岸田くんちはお金持ちにはならなかったが、少しは余裕ができた。
そしていまでは、山田さんちの小さな庭にも少しずつドールハウスが地面から芽吹きはじめている。