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与你独享影院大屏

  
 

与你独享影院大屏

桐生 梓

“都什么时候了,怎么要去看电影呢?”
当我今天又去医院看妻子时,她对我如是说。
“我不是说了嘛。是在超市抽奖活动中中奖了。”
“不过,我的身体状况不太好啊。”
“没事的。医院允许你住到外边,医生也说没问题,而且影院也可以坐着轮椅进去的。再说,难得中了一等奖,不去就浪费了。”
我说出了家政能手绝对会同意的一句话。
“要是那样,我就去吧。”
她终于同意了。
“是什么类型的电影? 大概是正在流行的动作片吧?最近的电影不是我的口味。”
她仍然不太积极。
“如果觉得没劲,你可以中途出去。反正是免费的嘛。”
行程计划是:两个人包场一间电影院放映室,在酒店用餐并住宿一晚。我怎能错过这一机会?只是我告诉她,我忘了是哪一部电影。
“咦,连作品都不清楚了?拿你真没办法!”
但她既然答应,已经不能反悔了。
其实,她也并不是彻底否定欧美电影的。结婚没过几年的时候,偶然有人把电影票送给我,我们夫妻两个人一起去看了刚开始上映的《音乐之声》。一开始她没有那么积极,让我意外的是,她看了就喜欢上了。后来用攒起来的零钱买了电影音乐专辑,经常在家里播放。再后来,她开始边看歌词边跟着唱,连做饭、洗衣的时候都在哼哼地唱着。《音乐之声》的回忆成了夫妻的美好往事。
看电影的那一天来了。
电梯门开了,我推着轮椅走进前往影院的通道,影院门前挂有一块招牌,非常醒目。我同时听到妻子“啊”地倒吸了一口气。招牌上写有“心里装满的青春辉煌”,这是那部电影当年的宣传词,在轰轰烈烈的路演活动中使用的。时隔数十年,它再次重现在我们面前,还增加了一句副题,写有“经过数字修复重现于世。”
“我再次告诉你,今天是两个人的包间。如果身体不适,随时都可以出去。跟着电影一起唱歌都没问题。对了,要不,我们一起唱唱如何?”
妻子伸出手来,放到我推着她轮椅的手上。她那只纤细骨感的手微微地颤抖着。
我把妻子送回医院的路上,她还在高高兴兴地唱着《雪绒花》。她脸颊略微发红,让医务工作人员吃惊,直说好像变了一个人似的。我打算家里找找她以前常听的《音乐之声》磁带,在下一次去看她的时候带给她。不对,现在世上还有叫“CD”的东西,我也要找找。
快要晚餐时间了,超市里还有许多人。今晚我打算吃三文鱼盒饭,是我爱吃的一种,价格450日元。我忽然想起了过年时看到百货店盲盒海报的情景。海报上写有“此盲盒含:包间放映《音乐之声》;在酒店住宿,含晚餐。价格30万日元。” 这也许能让妻子再次绽放笑容!我不由地跑到百货店,在多个竞争对手中最后获得了盲盒购买权。此时我虽然很高兴,但坦率地说,困惑也很大。盲盒价格相当于我5个月的养老金总额。目前我仅靠基本养老金和积蓄低调过日子,这一价格对我无疑是个巨大的经济负担。但我仍然想赌这一把。当我在影院里看到妻子气色红润起来,注视着屏幕,跟着电影一起唱歌的时候,我终于有了信心。这次付出的昂贵代价,是很值得的。
还是选煎肉饼盒饭吧,虽然我不太喜欢……。我把手里的三文鱼盒饭放回去,拿起煎肉饼盒饭匆匆地向收银台走了。此盒饭因为快过时了,贴有“半价优惠”标签。

君とふたりの映画館

桐生 梓

朗読:松本喜臣(劇団シアター・ウィークエンド)

 「どうしていまさら映画なんか観に行かなきゃいけないの?」
 今日も見舞いに行った私に、妻はそう言った。
 「だから、言っただろう。スーパーの福引きで当たったんだよ」
 「それにしたって。体調も良くないし」
「大丈夫。外泊の許可は下りている。お医者さんも太鼓判を押してくれているし、映画館へは車椅子のまま入れるんだから。何より一等賞に当たったんだよ。無駄にしたくないだろう?」
 私は、主婦だったら聞き逃せない一言を妻にぶつけてみた。
 「だったら、行ってもいいけど」
 ようやく妻は首を縦に振った。
 「で、どんな映画なの? どうせ、いま流行りのアクションものじゃないの? 私、最近の映画にはついて行けないわ」
 それでもやはり、乗り気ではない。
 「つまらなかったら途中でやめればいいさ。どうせただなんだから」
 プランはこうだ。その映画を上映する映画館を二人で貸し切り。ホテルの宿泊、食事付き。これを逃す手があるだろうか。ただ、私は妻に、映画のタイトルを忘れてしまったと言った。
 「なんだ、どんな映画かわからないんじゃ、どうしようもないじゃないの」
 それでも、いったん首肯した手前、妻はもう引き下がれなかった。
 正直なところ、妻は洋画がまったくだめというわけではなかった。結婚して数年の頃、たまたまもらった映画鑑賞券で、当時新作だった『サウンド・オブ・ミュージック』を二人で観に行ったのだ。最初はやはり乗り気でなかった妻だが、観たら意外に気に入り、その後、コツコツと貯めたへそくりでサウンドトラックのレコードを買い、レコードプレーヤーをまわしてよく聴くようになった。そのうちに、歌詞カードを見ながら一緒に歌うようになり、炊事や洗濯の時も鼻歌のように歌っていた。だから、『サウンド・オブ・ミュージック』は二人の想い出の映画だったのだ。
 そして当日。
 エレベーターが開き、映画館へと通じる通路を車椅子を押していく私の目に、劇場の前に大きく掲げられた看板が飛び込んできた。それとともに妻がハッと息を呑む音が聞こえた。「心に広がる青春の輝き」。あの頃はこんなキャッチフレーズで鳴り物入りでロードショー公開されたこの映画が、「デジタルリマスターで今蘇る」と添え書きされていま数十年の月日を経て私たちの前に再び現れた瞬間だった。
 「繰り返すが二人だけの貸し切りだ。気分が悪ければいつでも出れば良い。それに、一緒に歌ったってかまわないんだよ。そうだ、一緒に歌おうじゃないか」
 妻の、骨ばかりが目立った手が、車椅子を押す私の手の上に伸びてきて止まった。その手は微かに震えていた。
 病院に送り届けた妻は、まだ楽しそうに「エーデルワイス」を口ずさんでいた。上気した頬を見せる妻に病院のスタッフたちは、見違えるようだと驚いていた。今度見舞いに行くときは、妻が以前に聞いていた『サウンド・オブ・ミュージック』のカセットテープを探して持っていくつもりだ。いや、今はCDってものが出ているんだったかな。今度探してみよう。
 夕食時を迎えたスーパーは、まだ結構混み合っていた。今日は私の好きな鮭弁当にしよう。450円。ふと、私は正月にデパートの福袋のチラシを見た時のことを思い出した。『サウンド・オブ・ミュージック』映画館貸し切り、ホテル宿泊、食事付き。三十万円也。妻に笑顔を取り戻せないかと思わず走ったデパートで、何人かの希望者の中からこの福袋を射止めた時の喜びと、正直言ってとまどい。年金の五ヶ月分だった。国民年金と貯金を取り崩してつましく生きている私にとって大変な出費であることは言うまでもない。それでも私は賭けてみた。映画館で、上気した顔で画面に見入る妻、一緒に歌を口ずさむ妻をこの目で見たとき、決して高くない出費だったと確信することが出来た。
 ハンバーグ弁当か。それほど好きでもないが……。私は鮭弁当を元に戻すと、賞味期限間近で半額シールが貼ってあるハンバーグ弁当を手に持っていそいそとレジに向かった。

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ヒューマンドラマ